
AI併用が、AIライティングの精度を上げる
AIは「併用」するのが基本です。
前の章でもお伝えしたとおり、AIは「最大公約数的な正解」を探すことが大得意です。
80点前後のたたき台を作ることは、AIがかなり得意です。
ですが、文章生成においては、「80点の文章」には色々なパターンが存在します。
Aという80点の文章、Bという80点の文章、Cという80点の文章が存在し得る。
そこで、まずAという80点の文章を生成したあと、違うAIに「この文章についてどう思う?BやCの可能性もある?」と尋ねるのです。
そうすると、Aとは異なった観点でBやCの切り口でアドバイスをくれます。
そう、AIで生成した文章をAIにレビューさせて、さらに精度を上げる。
これが1つ目のAI「併用」方法です。
なぜ私はAI併用に辿り着いたのか
少し、私自身の話をさせてください。
当初私は、ChatGPTだけ使ってAIライティングをしていました。
でも、ある時気づいたんです。
「なんか、同じ感じの文章しか出てこない」と。
何度リクエストを変えても、どこか似たような文体、似たような構成、似たような結論。なぜか?
答えはシンプルで、1つのAIだけで進めると、出力の癖や視点に引っ張られやすくなるからです。
どんなに賢くても、1人の人間は1人分の視点しか持てない。
それと同じです。
そこで試しに、ChatGPTで書いた文章をGeminiに投げてみました。
「この文章、どう思う?改善点は?」と。
驚きました。
ChatGPTが「良い」と判断して出してきた文章を、Geminiが
「ここの論理が弱い」
「この表現は読者が誤解するかもしれない」と指摘してくる。
そうか。
AIにも「見え方の違い」があるんだ、と。
それからしばらくして、Claudeに出会いました。
「あ、これは長文の執筆に合いそうだ」と感じました。
文脈の理解、長文の一貫性、言葉の選び方が、当時の私のスタイルにフィットしました。
それからClaudeをメインに据えて、Geminiでファクトチェック、ChatGPTで別角度のアドバイス、という配置が、現時点の私の運用としては落ち着いています。

複数AIで批評し合うと、独りよがりを防げる
「本当に複数のAIを使うことって意味あるの?」と思われるかもしれません。
実はこれ、学術的にも研究されているテーマです。
複数のAIに回答を出させ、互いに批判させる手法は、AI研究の世界でも議論されています。
厳密な研究紹介はここでは省きますが、実務感覚としても、1つのAIだけに閉じるより、別の視点を入れた方が、ミスや偏りに気づきやすくなります。
なぜこれが有益なのか。
それはAIに「コンテキスト依存性」という性質があるからです。
1つのAIは、最初に生成した回答の方向性に引っ張られる傾向があります。
一度「A方向」で書き始めたら、A方向を強化するような出力を優先しやすい。
AIは、自分が一度口にした『ノリ』に自分自身で流されてしまう性質があります。
専門用語として厳密にそう呼ぶかは別として、私はこれを「出力方向の自己強化」のようなものだと捉えています。
一度Aという方向に歩き出すと、その方向を自然に補強する文章が続きやすくなる、ということです。
一度Aという方向に歩き出したら、たとえそこが崖っぷちでも、Aを正当化する理由を並べ続けてしまうんです。
だからこそ、別のAIを『ストッパー』として登場させる必要があります。
この「確証バイアスに似た挙動」をハックするのが、AI併用です。
これは採用面接官として数百名の候補者と面接をしてきた私の経験則にも合致します。
面接官は、最初の5分で「この人いいな」と思うと、その印象が残りの面接にも強く影響します。
最初の印象が、その後の評価に大きな影響を与えるのが「初頭効果」です。
さらに、その印象を裏づける情報ばかり無意識に探してしまう「確証バイアス」も働きます。
だから「第三者の目」が重要になります。
採用の世界でも、面接官一人の印象だけで決めず、別の人の目を入れて判断する仕組みが使われることがあります。
これは、原稿制作でも同じです。
1つの視点だけで判断せず、別の視点を入れることで、独りよがりを防ぎやすくなります。
AIも、最初に設定したコンテキストに引っ張られる。
だからこそ、「一切のしがらみがない別のAI」にゼロベースで批判させる。
この「客観性の強制確保」こそが、一人で孤独に書く作家が陥りやすい「独りよがりな文章」を防ぐ手段になるのです。
ファクトチェック
もう一つのAI併用の理由は「ファクトチェック」です。
前の章でも触れましたが、AIは時々、ものすごくもっともらしい嘘を平気でつきます。
もう、本当にさも本当かのような嘘を平然とつきます。
これを「ハルシネーション」と言います。
ただ正確に言うと、Kindle本制作で問題になるのはハルシネーション(事実無根の情報生成)だけではありません。
「古い情報をそのまま使う」
「統計データの出典があいまい」
「法律や制度の最新状況が反映されていない」といった問題も起きます。
そもそも、なぜAIは時々事実ではないことをさも当然のようにアウトプットしてしまうのでしょうか。
それは、AIが本質的に「正しいことを言う機能」ではなく「それらしいことを言う機能」だからです。
技術的に説明すると、AIは「次に来るべき言葉は何か」を膨大なデータから確率的に予測します。
「正確な情報か」より「文脈的に自然な続き方か」を優先するわけです。
だから自信満々に間違えることがある。
書籍として出版するので、事実と異なる情報は絶対に書きたくないですよね。
(とは言え、普通に書店に並ぶ本の中にも事実と異なることを書いている本なんて山ほどありますけどね!)
現時点の私の使用感では、ファクトチェックの精度という観点でGeminiが最も優れていると感じています。
Googleの検索エンジンと連動してリアルタイムで情報を参照できる強みが大きい。
ただ、AIは常にそれぞれが機能を追い越し合っている状態なので、このBrainを読んでくださるタイミングによっては状況が変わっているかもしれません。
AIの進化は本当に著しいですから。

役割ごとにAIを使い分ける
ここから先は、特定のAI名ではなく「役割」で覚えてください。
AIの性能順位は変わります。
でも、原稿制作に必要な役割は大きく変わりません。
当時の私の用途では、長文生成はClaude、ファクトチェックはGemini、別角度の発想出しはChatGPT、ユーモアや表現の違和感確認にはGrok、という配置がしっくり来ていました。
ただし、この配置は固定ではありません。
AIの性能や得意分野は変わるので、その時点で一番合うAIを選んでください。
では具体的なAIの使い方に入る前に、現時点での主要AIの個性を整理しておきましょう。
Claude(クロード) Anthropicというアメリカのスタートアップが開発したAIです。
共同創業者のダリオ・アモデイはOpenAIの元幹部で、「AIの安全性」を最重視して設立された会社です。
Claudeの最大の強みは、なんといっても文章生成能力です。
文脈の理解力、論理展開の自然さ、長文の一貫性。
私の用途では一番合っていると感じています。
文章生成の用途では、私は最初に選ぶことが多いAIです。
Gemini(ジェミニ) Googleが開発したAIです。
Google検索との連携が強みで、リアルタイムの情報取得やファクトチェックに向いています。
また、Googleのサービス全体(スプレッドシート、Gmail、ドライブなど)との連携が可能で、実務的な使い勝手の良さが特徴です。
文章生成の「優等生感」が強く、まとまった答えを出してくれますが、裏を返すと少し無難すぎる部分もある。
ユーモアのセンスは「優等生の小ボケ」みたいな感じで、なんか安っぽい大喜利みたいになりがちです。
ChatGPT(チャットジーピーティー) OpenAIが開発したAIで、AIブームの火付け役。
最も知名度が高く、ユーザー数も世界最大規模です。
ただし、同じチャット(左側の会話履歴)を使い続けると、明らかに動作が遅くなり精度も落ちる傾向があります。(最近は改善してきたかも)
文章生成では、私の用途では他のAIを優先することが多いですが、「5章構成テンプレ」のような実践的なフレームワークを即座に出してくれる強みがあります。
Grok(グロック) イーロン・マスク率いる組織が開発したAIです。
X(旧Twitter)のリアルタイム情報と連携しており、最新のSNSトレンドや時事情報に強いのが特徴です。
文章のトーンは独特で、毒気があってユーモアのセンスがある。
全AIの中でユーモアセンスは正直Grokが一番好きです。
ただ、時々「品性に欠ける」返しをしてきます。(あおい主観です)
まぁいいんだけど、ちょっと、という感じ。
私が実際に使っているフロー(9ステップ)
では、現時点で私が実践している具体的なAI使い分けフローをお伝えします。
ステップ1:骨子を手書きで書く
前章でお伝えした通り、骨子だけは基本的に手作業で作ります。
ここだけは人間の仕事です。
ステップ2:メイン執筆AIでMECEに整える
私の現時点の例ではClaudeを使うことが多いです。
手書きした骨子をメイン執筆AIに投げて、章と節に整理してもらいます。
章と節(1-1とか1-2)に分けて生成してね、と依頼すればOK。
ステップ3:別系統のAIに過不足チェックを依頼
できれば2つ以上のAIに見てもらい、違う視点から抜け漏れを確認します。
「この骨子に過不足はありますか?」
「読者視点で何か欠けていると思う部分はありますか?」
と2つのAIに骨子を丸ごと投下しつつ、尋ねます。
ステップ4:フィードバックを自分の目で判断してメイン執筆AIに返す
アウトプットされたフィードバックを盲目的に全部採用しない。
「自分の目と頭でちゃんと確認」してから、反映させたいものだけをメイン執筆AIに戻して骨子を完成させます。
ステップ5:節ごとにメイン執筆AIで文章生成
「節」単位でメイン執筆AIに文章を生成させます。
一気に全部ではなく、節ごとに区切る方が精度が高くなります。
どのAIでもそうですが、あまりにも一気に依頼すると動作が止まったり、同じような内容のデジタル産業廃棄物を大量生産されてしまうので、注意です。
ステップ6:ファクトチェックAIと批評AIに、事実確認と改善アドバイスを依頼
調査に強いAI、読者目線の違和感を拾いやすいAIなど、役割を分けて使います。
「ファクトチェックと改善アドバイスをください。忖度しないで。」と添えて投げます。
おお、なるほどな!
という観点をもらえることが多く、感動する時があります。
期待値を超えたフィードバックはChatGPTの方が多い気がしますね。
Geminiは「優等生」な回答をくれますが、Geminiの回答を採用しすぎると個性がなくなる気がしています。
Gemini真面目か、って思う時、よくあります。
フィードバックの「味付け」を変えることもできますよ。
例えばGeminiに「社会学・心理学で論旨を補強したいからその観点でフィードバックを頂戴」と言えば、スラスラと権威性の補強に繋がるようなフィードバックをくれます。
ステップ7:採用するフィードバックだけをメイン執筆AIに戻す
「自分が反映させたいものだけ」メイン執筆AIにフィードバックします。
ファクトチェックで明らかな間違い、コンプライアンス上の懸念は100%フィードバック。
ここは必ず反映させましょう。
ステップ8:必要に応じて手書きで加筆修正
基本はそのまま使いますが、必要に応じて自分で加筆修正をします。
ステップ9:ユーモアや読者との距離感は人間が最終確認する
ユーモアや脱線の温度感は、まだ人間が最後に見た方が安全です。
特に、読者との距離感や自虐の塩梅は、著者本人の感覚を優先してください。
「え、9ステップって多くない?大量生産できないんじゃない?」と思った方、大丈夫です。
慣れてくると、1つの節ごとの確認にかかる時間はかなり短くなります。
手書きで悩み続けるより、複数AIのレビューを使った方が、短時間で改善点に気づけます。
ふう。
いっぱい伝えることがあってちょっと疲れちゃいますよね。
一気に読まなくてもいいので、ゆっくり、咀嚼しながら読み進めてくださいね。
あ、ちなみにこの方法は複数のAI画面と、WordやGoogleドキュメントのような原稿ファイルを並べながらやるととっても効率的なので、大画面モニターを使うと更に生産性が上がりますよ。
大量生産をするためには、物理的な環境構築も、とっても大事です。

AI併用の本質は「原稿制作の分業化」である
ここまで読んで、「やること多いな」と思いましたか?
大丈夫です。
実は私も、ちょっと多いな、って思いました(笑)
あ、いや、実践してる時はそうでもないんですけど、丁寧に工程に分けて文字にすると多く感じますね。
でも少し視点を変えてみてください。
一般的な書籍の出版現場では、こんな役割分担があります。
著者が原稿を書く。
編集者が構成を整える。
校正者が誤字脱字をチェックする。
ファクトチェッカーが事実確認をする。
マーケティング担当がタイトルと表紙を考える。
これ、何人いると思いますか?
最低でも4〜5人です。
大手出版社なら、その倍以上の人間が1冊の本に関わります。
あなたが今やっていることは、それを一人で再現しているんです。
骨子を作る(著者)→ Claudeで整える(編集者)→ GeminiとChatGPTでチェック(校正・ファクトチェック)→ フィードバックを取捨選択して反映(最終判断者)→NanoBananaProで表紙を作成。
1冊の原稿を作る場面だけ切り取れば、あなたは小さな制作チームを動かしているようなものです。
AIが書き、AIが調べ、AIが批評する。
そして、最後に採用するかどうかを決めるのはあなたです。
この視点の転換ができると、9ステップが「大変な作業」から「当然の工程」に見えてきます。
プロの出版社が当たり前にやっていることを、AIを使うことで一人で、1日で回せるようになった。
これが、AI併用の価値です。
「編集機能の民主化」と言い換えてもいい。
かつては出版社という組織と資本がなければできなかったことが、今は個人でできる。
そう考えると、これくらいの作業はまぁ対応して然るべきかな、という気持ちにもなります。
AIは思考の「筋トレマシン」でもある
ここで少し、AI依存に関する誤解を解いておきたいです。
「AIを使い続けると、自分の思考力が落ちるんじゃないの?」
と思う人がいるかもしれません。
この懸念、分かります。
でも私は、正しく使えば、AIは思考の「筋トレマシン」になると考えています。
どういうことか。
骨子を手作業で作る時、頭の中でMECEを意識して、構成を練って、伝えたいメッセージを整理します。
これはかなりの思考力を使います。
Claudeが生成した文章をGeminiが批評する。
その内容を読んで「これは反映すべきか、しなくていいか」を自分で判断する。
AIのアウトプットを「採用 / 不採用」で仕分けするたびに、あなたは「なぜこれが良いのか」「なぜこれは合わないのか」を考えています。
これは、脳の筋トレです。
骨子を自分で作る → 批評を読んで判断する → 反映させたものを言語化する。
このサイクルを繰り返すほど、あなたの「書く頭脳」は鍛えられていきます。
AIを使いながら、脳を強化する。
これが私の考える「正しいAIの使い方」です。
「AIがやってくれるから、自分は何もしなくていい」というのは、正しい使い方ではありません。
「AIに考えさせて、その考えを評価・選択・統合するのが自分の仕事」というのが、正しい使い方です。
骨子は自分で作る。
フィードバックは自分で選ぶ。
ここだけは絶対に手放さない。
AIを使い込めば使い込むほど、あなたの判断力は鍛えられます。
なぜなら1冊本を書く間に、膨大な選択肢の中から「どれを使うか」を考え、意思決定させられ続けるからです。
AI依存が作家性を削る3つの瞬間
正しく使えばAIは最強の武器ですが、間違った使い方をすると、作家としてのあなたを静かに殺していきます。
瞬間①:骨子もAIに作らせた瞬間
「骨子なんてAIに任せればいいじゃん」と思い始めた時が危ない。
骨子は、あなたの「思考の設計図」です。
ここをAIに任せた瞬間、あなたの本は「AIが考えた本をAIが書いた本」になります。
そこに「あなた」は、もういません。
個性のない本は、読まれません。
読まれない本は、印税を生みません。
そして「やっぱりKindle出版はダメだ」という結論になる。
原因は、Kindle出版そのものではなく、AIに任せすぎた設計にあるのかもしれません。
瞬間②:フィードバックを全採用した瞬間
「AIが言うならそうしよう」と、届いたフィードバックを全部反映させた瞬間が危ない。
AIのフィードバックは、あくまで「可能性の一つ」です。
あなたの読者像を最も理解しているのは、あなた自身です。
AIが「この表現はやや硬い」と言っても、あなたの読者層にはそのくらいの硬さがちょうど良い場合もある。
「採用か、不採用か」を毎回自分で決める。
これを怠ると、いつの間にか「AI好みの文章」になっていきます。
瞬間③:文章が「平均化」していった瞬間
これが一番気づきにくい問題です。
AIは最大公約数の文章を出します。
何十冊も書いていくうちに、全部の本が「どこか似たような文体」になっていく。
「あ、この人の文章、なんか最近パターンが同じだな」と読者に感じられた時、信頼残高は静かに減っていきます。
対策は一つです。
定期的に「一部分は手書きで書く」練習をやめないこと。
手書きとAIライティングを行き来することで、あなたの「地の声」は失われません。
少なくとも、読者にちゃんと届く本を作るうえでは、現時点で私は完全丸投げを推奨していません。

あなた専用の「AI原稿制作チーム」を作る
さて、ここまでの話を踏まえて、最後にまとめます。
「AI原稿制作チーム」という概念を、あなたの中に作ってください。
具体的にはこういうイメージです。
Claude:メインライター兼チーフエディター。文章の最終形をここで作る。
Gemini:ファクトチェック担当兼情報調査部。「これ、本当に正しい?」はここに聞く。
ChatGPT:基本的にはGeminiと同じだが、企画・発想系はGeminiより強い。
Grok:ユーモアと毒舌担当。たまに「ちょっと刺激が欲しい」時に召喚する。
あなた:最終判断者。全員の意見を聞いて、最終的に「どれを採用するか」を決める。
最終判断者は文章を書きません。でも最終判断者がいないと、本は完成しません。
あなたの仕事は「書くこと」より「判断すること」です。
「どの方向性で書くか」
「どのフィードバックを採用するか」
「どこを手直しするか(個人的にはこれが一番大事な気がしている)」。
この判断の積み重ねが、印税1,000円と印税5万円の差を生みます。
ちなみに余談ですが、前章の「カフェでチャッピーと言っていたあの女性」を覚えていますか?
あの女性は、AIに「質問」しています。
でも、私たちはAIを「マネジメント」しています。
この差は何か。
それは、AIを「答えをくれる魔法の箱」ではなく、「一緒に仕事をするチーム」として扱っているかどうかです。
複数のAIとWordやGoogleドキュメントのような原稿ファイルを並べて作業している光景は、もはや一人で行う「原稿レビュー会議」です。
あなたが最終判断者として、AIたちがライターや作業スタッフになる。
この視点の転換ができるだけで、執筆の生産性は大きく変わります。
実際に各AIに同じ質問をぶつけてみた
ここから紹介する回答は、私が実験した時点での各AIの出力です。
AIの性能や回答傾向は変わるので、「今もこの序列です」という意味ではありません。
ここで見てほしいのは、同じ質問でもAIごとに視点が変わる、ということです。
AIそれぞれには特性があるので、使い分けが重要であることはお伝えしましたが、本当のところどれくらい特性(≒個性)があるのかわからないですよね。
百聞は一見にしかず、というわけで実際にやってみましょうか。
AIによってどれくらい「個性」があるのかを体感してもらいたいので、私の「あおい」人格を消すために、ブラウザのシークレットモードでログアウトした状態で同じ質問をしてみます。
ログインがどうしても必要なAIについては、新規のメールアドレスを取得してまっさらな状態で、同一条件(まさにアップル・トゥ・アップル)で調べてみました。
思考モード(じっくり考えるモード)は使わず、高速モード(サクッと調べるモード)です。
質問はこちら。
「Kindle出版で印税を5万円最速で稼ぐために最も重要かつ確実な方法を、抽象論ではなく具体的に迷わずすぐ実践できる言葉で、300文字以内で、優先順位の高い順に、最も効果がある打ち手3つに絞って、分かりやすく説明してください」
<Geminiの回答>
①「悩み解決」×「ランキング上位」のジャンル選定 投資、副業、ダイエット、恋愛など、「お金を払ってでも解決したい深い悩み」がある市場を選ぶ。Amazonの売れ筋ランキングをリサーチし、上位10位以内に個人出版が食い込んでいるテーマなら勝機あり。
②KDPセレクト(読み放題)への登録 初心者が「販売数」だけで5万円稼ぐのは至難の業。Kindle Unlimitedに登録し、1ページ読まれるごとに約0.5円入る「既読ページ数」を収益の柱に。
③「クリックされる表紙」と「刺さるタイトル」の徹底 プロ風の表紙(Canva等で作成)と、「◯ヶ月で◯円」「図解」といった具体的メリットを含むタイトルで、まずは手に取らせることが最優先。
<ChatGPTの回答>
①売れるテーマを一点突破で選ぶ Amazonランキング上位100位を確認し、「悩みが深く・解決が早い」実用系から1テーマ1冊に絞る。自分の主張より既存需要優先。
②最短で書き切る構成を使う 「問題→原因→即効解決→手順→注意点」の5章テンプレで2〜3万字。完璧主義禁止。7日以内に完成を絶対ルールにする。
③価格と表紙で即購入させる 価格は980円。表紙はCanvaで「大きな文字+数字+ベネフィット1つ」。出版後はKDPセレクト登録+無料キャンペーンで一気に露出。
<Claudeの回答>
①需要が確実な実用書を書く Amazon検索で「◯◯やり方」「◯◯初心者」と入れ、レビュー50以上ある本を5冊見つける。その分野で「もっと簡単に」「図解多め」など差別化した本を書く。
②価格を250円に設定 ロイヤリティ35%でも薄利多売が最速。5万円=約571冊。1,000円だと157冊必要で心理的ハードルが高い。低価格で購入率を最大化。
※ここでClaudeが出した冊数の計算は正確ではありません。
1冊1,000円でロイヤリティが35%なら、5万円に必要なのは約143冊です。
このように、もっともらしい数字でも計算が間違っていることがあります。
AIの回答は、必ず人間が確認してください。
③表紙は必ずCanvaで作る Canva無料版の「Kindle表紙」テンプレート使用。文字は大きく太く、色は3色まで。競合5冊の表紙を並べて「一番目立つ色」を選ぶ。
<Grokの回答>
お金関連の悩み(HARM法則のMoney)を解決するテーマを選び、ChatGPTに「月5万円稼ぐ副業方法の目次と内容生成」と入力して100ページの本を1週間で作成。 Canvaで表紙を5分で作り、KDPで無料出版。70%印税とUnlimited登録。 出版後、無料キャンペーンを設定し、Twitterで「無料本配布中!」と宣伝。1ヶ月で3冊出版して売上積み上げ。
<Perplexityの回答>
①「悩み特化×体験談×ノウハウ」のテーマを1つ決め、見出し構成だけ先に作る。
②1冊100ページ前後・価格700〜1,000円・70%印税で設計し、3冊シリーズ化して書く。
③KDPセレクトに登録し、発売直後に「無料キャンペーン→SNS告知→値上げ」で一気に読者とレビューを集め、売れ行きが悪ければタイトル・表紙・説明文を即日修正する。
<Copilotの回答>
①需要が確実にあるテーマを選ぶ(最重要) 「副業」「恋愛」「健康」「節約」など既に売れているジャンルで、上位10冊のタイトルと目次を分析し、同じ構造で自分版を作る。
②検索されるタイトルを作る 「悩み+解決策+具体性」で作る。タイトルだけで売上の7割が決まるので、10案作って最も強いものを採用する。
③出版後48時間でレビューを集める 友人・SNSフォロワーに「読んで良ければレビューを」と依頼し、初速で10件を目指す。これだけでランキング入りし、自然検索で売れ始める。
なお、この中には、そのまま採用しない方がよい提案も含まれています。
特にレビュー依頼まわりは、Amazonのルールや読者との関係性に十分注意が必要です。
AIの回答は、あくまで比較材料です。
便利そうに見えても、規約や長期的な信頼を損ねる可能性がある提案は、人間が止めなければいけません。
この点は、第8章のアカウント防衛の考え方を優先してください。
Grokが面白いですよね。Grokに聞いているのに「ChatGPTに入力して」って言っています。
いや、あなたがやってくれないんかい(笑)と、思わず突っ込んでしまいました。

意外な発見:PerplexityとCopilotが芯を食っていた
意外にも、PerplexityとCopilotが結構芯を食ったことを書いていますね。
あれ?私普段全然使ってないや(笑)
まあでも、他のAIも良いことを言っていますよね。
Geminiの「Amazonの売れ筋ランキングをリサーチ」と「クリックされる表紙と刺さるタイトルの徹底」は超絶重要です。
Geminiさん、大正解。
ChatGPTの「問題→原因→即効解決→手順→注意点の5章テンプレで2〜3万字。完璧主義禁止」は、最初の1冊目を考えているKindle作家さんには非常に役立つフレームワークです。
Claudeの「レビュー50以上ある本を5冊見つける。その分野で差別化した本を書く」については、これは私が毎回必ずやっていることです。
やるな、Claude。
Grokは「ChatGPTに丸投げしつつ」(お前は職場のちょっと嫌な同僚か!)、お金関連テーマの重要性だけはしっかり押さえていました。
こうして横に並べてみると、それぞれのAIが「異なる視点」を持っていることが、具体的に分かりますよね。
これが、AI併用の価値です。
「個人が知的生産者になる」ためのOSとして
最後に、少し大きな話をさせてください。
AI併用は、単なるテクニックではありません。
これは「個人が知的生産者になるためのOS」だと私は思っています。
かつて、本を出版できるのは出版社という組織に認められた人間だけでした。
そこには資本が必要で、時間が必要で、人脈が必要でした。
でも今は違う。
あなたのパソコンの前には仮想の編集部があります。
必要な時にいつでも相談でき、何度でもレビューしてくれる。
編集機能が、民主化されたのです。
組織しか持ち得なかった出版力が、個人の手に渡ってきました。
この時代に生きている私たちは、正直かなり恵まれていると思います。
あなたの思考を、体験を、考察を、世界に届ける手段が今この手の中にある。
それを使わない理由はありません!
最後に判断するのは、あなたです
あなたは、ただ文章を書くだけの人ではありません。
AIの意見を聞き、必要なものを選び、不要なものを捨てる「最終判断者」です。
AI併用の本質は、ツールをたくさん使うことではありません。
1冊の原稿を作る工程を、複数の役割に分けることです。
書くAI。
調べるAI。
批評するAI。
違和感を拾うAI。
そして、最後に判断するあなた。
AIはエンジンですが、ハンドルを握るのはあなたです。
進む方向を決めるのは、常にあなたです。
以上、お疲れ様でした!
次の章では、せっかく作った原稿を最後まで読んでもらうために、「読者離脱を防ぐテクニック」についてお伝えします。

追記:資料読み込み型AIで骨子の精度を上げる
AIを併用して原稿の質を上げるのは、執筆やレビューの段階だけではありません。
事前の「骨子作り」の段階でも、資料を読み込ませて要約・比較・論点抽出ができるAIを使うことで、精度を上げられます。
当時の私がよく使っていた代表例がNotebookLMです。
ただし、大事なのはNotebookLMというツール名ではありません。
資料を読み込み、要約し、共通点や不足点を整理してくれるAIを、骨子作成に使うという発想です。
AIに骨子を丸投げすると、だいたい「それっぽいだけの本」になります。
表面的で、競合と差別化できない、誰が読んでも同じような内容。
インターネット上の平均的な情報を繋ぎ合わせただけの、優等生だけど面白くない内容になってしまいます。
だから骨子は必ず人間が作るべきです。
読者は「あなたの視点」や「独自の分析」にお金を払います。
骨子に人間が魂を込めることで、初めて「替えの利かない一冊」になります。
そして、競合調査も絶対に外せません。
読まれる本には、必ず先行して出版されている書籍があります。
それを確認せずに執筆を始めるのは、地図を持たずに航海に出るようなものです。
そしてもちろん、それらの本より良い本を書くことも必須です。
でも、AIの発達によって、市場調査がかなり便利にできるようになりました。
それがNotebookLMです。
今回の用途であれば、基本は無料プランで事足りることもありがたいです。
詳細の使い方は著書「いちばんやさしいNotebookLMの教科書」に任せるとして、ここでは骨子作成における活用法をお伝えします。
私は基本的に、次の流れで骨子を補強しています。
① YouTubeでテーマ検索(再生回数が多いものを5〜10本ピックアップ)
② NotebookLMにURLを入力
③ 要約を見て「悩み・解決策」を抽出
④ 共通している要素を骨子にする
例えば「ChatGPTで英語学習」というテーマで本を書こうと思ったら、YouTubeで「ChatGPT 英語学習」と検索して、再生回数が多い動画を5〜10本ピックアップします。
(実際に調べてみてください、動画めちゃくちゃ出てきますから)
それらの動画のURLをNotebookLMに入力すると、動画の内容を文字起こしして要約してくれます。
「この動画では何が語られているか」「どんな悩みに答えているか」「どんな解決策を提示しているか」——これらが一目で分かります。
視聴者が今、何に熱狂し、何に悩んでいるかの「動的なトレンド」を掴めます。
YouTubeだけではありません。
競合本のAmazonレビューをテキスト化してNotebookLMに投入すれば、既存の本の「物足りない点(不満)」を抽出できます。
自分の本でその不満を解決するポイントを特定できるんです。
専門サイトや学術論文のPDFを追加すれば、科学的根拠や専門的な裏付けのある、信頼性の高い骨子を構築できます。
noteやXの生の声を取り込めば、読者のリアルな「言葉の癖」や「感情の揺れ」を骨子に反映できます。
ただし、資料をAIに読み込ませる時は、著作権や利用規約に注意してください。
自分が利用する権利を持っている資料、公開されている情報、自分で作成したメモやレビュー整理などを使うのが基本です。
書籍や有料教材の中身を、そのままスクリーンショットで取り込んで流用するような使い方は避けてください。
AIに任せるのは、あくまで「傾向の整理」や「不足観点の発見」です。
他人の表現をそのまま本文に使うのではなく、最後は自分の言葉と体験で編集してください。
これで、今まで自分が骨子を作る時に足りなかった観点を簡単に補うことができますし、新たな骨子の着想を得ることもできます。
さらに深く調べたい場合は、Deepリサーチ機能も使えます。
表面的なリサーチで終わらせず、一見難しそうな学術的な知見や最新トレンドの裏側まで、AIがあなたの「専属リサーチャー」として掘り下げてくれます。
NotebookLMは文章も書くことができるので、そのテーマについてそのままNotebookLMに書いてもらった文章を参考にすることもできます。
ただし、あくまで「高品質な素材」として扱い、最終的には人間が編集・加筆することが大切です。
AIの言葉をそのまま使うのではなく、あなた自身のトーンや、独自の体験談を肉付けすることで、読者の心に届く文章になります。
Kindle出版において「読まれるか否か」は、8割が骨子で決まると思っています。
骨子がしっかりしていれば、あとはAIと協力して執筆を進めるだけ。
逆に骨子が甘ければ、どれだけAIに書かせても薄っぺらい本にしかなりません。
その骨子の精度を上げる上で、事前の分析は欠かせません。
NotebookLMを使えば、かなり効率的に調査・分析することができるので、本当にこの方法はおすすめです。
骨子作成のフェーズで資料読み込み型AIを使うと、読者ニーズや競合の抜け漏れに気づきやすくなります。
その結果、骨子の精度が上がり、読まれる本に近づきやすくなります。
効率化(AI)とこだわり(人間)の絶妙なバランスこそが、長く愛されるKindle作家への近道です。
-----
『いちばんやさしいNotebookLMの教科書』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0GS6RXXB1

-----
追記:1冊書き切ってから、複数AIで一括レビューする
さらに最近は、通常のチャット型AIだけでなく、ファイル単位で原稿を扱いやすいAI環境や、構造チェックに強いAIもレビュー工程に使っています。
私の場合、現時点ではClaudeCoworkやCodexのようなAIも組み合わせることがあります。
ただし、これは「このツールを使いなさい」という意味ではありません。
数年後には、私自身も別のツールを使っている可能性があります。
大事なのは、同じ原稿を、違う性格のAIに、違う観点で読ませることです。
第3章に追記した通り、このBrainを作成して以来、Claudeを使った私の執筆スピードは爆速になってきました。
毎週1冊出版する時もあります。
もはや1節/1章ごとにGeminiやChatGPTに確認するのが煩わしくなってきたので、最近の私は以下のようにしています。
まずメイン執筆AIで本を1冊先に書き切ります。
その後、その原稿ファイルを別系統のAIに読み込ませて、まとめてレビューしてもらいます。
私の現時点の例では、メイン執筆にClaude、レビューにGeminiやChatGPTなどを使うことが多いです。
レビューの観点は以下です。
・ファクトチェック
・誤字脱字・助詞の抜け
・上から目線・人を傷つける表現
・読者の離脱ポイント
・冗長な表現の特定
・結論の明確さ
・再現性の確認
・具体性の不足
・信頼性と根拠
・読者との距離感
・差別化の確認
・文章のリズム
・感情の動き
なお、未公開原稿や個人情報をAIに渡す場合は、利用しているAIサービスの利用規約やデータの扱いを必ず確認してください。
個人情報、口座情報、契約情報、他人の非公開情報などは、不要であれば削除してから読み込ませるのが安全です。
もちろん、返ってきた意見を取り入れるかどうかは、最終判断者であるあなたが判断しないとダメですが、自分でも気が付かなかった観点をもらえるので、とっても便利です。
是非試してみてください!